
広告代理店やリスティング広告の運用代行会社を選ぶ際に、
「とにかく、安けりゃいい!1円でも安く発注したい!」
と思う方も実際にいらっしゃいます。
でも、正直、その発想ってヤバいですし、
おそらく、そんな基準だけで運用代行会社を選んだら、
思うような効果が上がらずに失敗するでしょう。
これはリスティング広告の運用代行における
ビジネスモデルが大きく関係しています。
リスティング広告の運用代行を行っている会社は、
広告出稿に応じた手数料を請求することで儲けを出しています。
つまり、広告出稿費用の20%などを
運用代理店がマージンとしてもらっているという形態なので、
当然、広告出稿費用が増えれば増えるほど
運用代理店の儲けが増えるということです。
例えば、
月額費用10万円で広告出稿を行いたいという企業がいたときに、
マージン20%でその仕事を受けたとします。
(ここの計算は複雑なので割愛しますが)
この場合、広告代理店のマージンというのは、
2万円にも満たない数字になります。
まぁわかり易いように2万円としましょう。
この金額で、運用担当者が毎日毎日リスティング広告の管理画面を見て、
さらに月に1回程度、クライアント先に訪問をして打ち合わせをしたとします。
これって利益が出ていると思いますか?
まぁ実際こんな感じでは利益なんて出ないんですね。
では、そういった会社がどうするか?というと、
薄利多売路線に行くしかないわけです。
月額費用10万円のクライアントを何十社も抱えないと、
一人当たりの1ヶ月の人件費も賄えないですからね。
では、月額10万円のクライアントを一人で30社抱えたとしましょう。
1クライアントあたりのマージンを2万円とした場合、
これでやっと60万円のマージンになります。
当然、そこから人件費や交通費を引くわけなので、
最終的な利益は、雀の涙です。
で、そもそも一人で30社のクライアントを抱えて
全部のアカウントを細かく運用することが可能か?と言われると
それは非常に難しいでしょうね。
ということで、ここまでの話をまとめると・・・
マージンが極端に低い代理店は薄利多売の傾向がある。
↓
薄利多売なので、クライアント数を多くする必要がある。
↓
必然的に一社一社のリスティング運用にかけるリソースが減る。
↓
結果として、本当は広告効果が出るのに、出ない場合がある。
そんなことになってしまう可能性もあるわけです。
というか、これは実際に起こっていることですからね。
ですので、最近のリスティング業界の傾向として、
月額の広告予算が少ない企業に関しては、
「運用固定費」や「月額管理費」といった形で、
マージンとは別に月10万円前後のフィーを請求する流れになってきています。
そうすれば、先程の例でいうと、
広告予算10万円のうちの2万円程度をマージンとして請求し、
さらに月額のフィーとして10万円をもらえれば、
1社あたりの利益が12万円になります。
1社あたりの利益が2万円の場合では、30社運用して60万円の利益になりますが、
1社あたりの利益が12万円の場合では、たったの5社で60万円の利益が確保できます。
運用クライアント数が6分の1になるわけですから、
1社あたりの運用にかけられる時間も6倍になるということです。
いささか、極端な計算ではありますが、
6倍丁寧にリスティング運用をしてもらった方が効果が出やすい
というのは想像に難くないですよね。
ということで、全部が全部とは言いませんが、
リスティング運用代行に関しては「安かろう悪かろう」になってしまいがちです。
これはどうしても手数料収入という構造上やむを得ないことです。
もちろん、格安で運用もしっかりと行ってくれる代行会社もあるでしょうが、
実際は、なかなかないんじゃないかなーというのが正直なところです。
逆に、高ければ高いほど、運用が丁寧とも言い切れないのが、
リスティング広告の運用代行会社を選ぶ際の難しいところなのですが。
いずれにしても、何も考えずに
「とにかく、マージンが安いところに頼みたい!」というのは
広告運用自体がうまくいかない危険性もあるので、気を付けたほうがいいでしょう。
この記事へのコメントはありません。